Language: English / Japanese
本件は3/12に発生した福島原子力発電所の事故によって放出された
137Cs降下量のシミュレーション結果です。
2011/3/11~4/6までの計算を行い、その積算降下量を
4/6に福島県内で行われた137Csの土壌濃度の測定値と比較しました(図1,図2)。
計算結果は、飯舘村付近とそこから郡山方面に向かう降下量の分布をよく再現しました。
しかし、いわき付近では測定結果は低いにも関わらず、シミュレーション結果は高い値を示すなど
一部で実現象とかい離する結果も見られました。
これらの結果を踏まえ、現在、各地で行われているダストサンプリングの結果を元に
放出率の再検討を行っております。福島原発から放出された放射性雲がどのように広がっていくか
ということについては大きく変わることはありませんが、絶対値については
線源の見直しによって、今後変わる可能性があります。
項目 |
内容 |
出典 |
---|---|---|
計算モデル |
気象モデル:RAMS |
ATMET |
計算期間 |
2011/3/12 10:30~4/6 0:00 |
|
水平方向格子 |
Grid1:600×600[km]、10kmメッシュ |
|
鉛直方向格子 |
σ-z座標、20kmまで、30格子 |
|
放出点 |
福島第一原子力発電所 |
|
線源核種 |
137Cs |
|
放出率(※1) |
137Cs:131Iの1/10とした |
|
放出高さ |
通常:30m |
報道等 |
沈着速度 |
1.0[cm/s] |
|
洗浄係数パラメータα |
1.2×10-4 |
|
洗浄係数パラメータβ |
0.8 |
|
放出粒子数 |
2500万程度 |
|
気象データ |
MSM 等気圧面データ |
気象庁 |
地形データ |
50mメッシュ数値地図 |
国土地理院 |
※1:現在、各地のダストサンプリングの結果を元に再検討を行っている。
※2:気象モデルの降水の再現性が悪かったため、計算領域内のアメダス観測値から降水マップを作成し、適用している。
図1 福島県内各市町村の土壌における放射性物質の測定地点
(a) 土壌の137Cs濃度・測定結果(平成23年4月6日現在) 水田・転換畑 (Bq/m2) 土壌かさ密度1g/ml仮定 |
(b) 積算降下量・計算結果(2011/3/1210:00~4/6 0:00) |
図2 福島県内の137Cs 積算降下量[Bq/m2] 実測値のと比較 |
図3 関東における137Cs 積算降下量[Bq/m2]・計算結果
積算降下量・計算値の時系列を図4に示します。図4から、関東地方では
3/15-16、3/21に137Csの降下があったことが伺えます。
3/15は北風と海上からの東風によって、福島原発から放出された放射性雲が関東一帯を
通過したために生じたと考えられます(濃度分布を参照)。
3/21も同様の風配ですが、この日は関東地方で降水がありました。
3/20~24の柏市役所における137Cs地表大気中濃度計算結果と降水量の時系列を図
5に示します。
降水量は柏に近い我孫子のアメダスデータを記載しています。
図5から、大気中濃度のピークと降水のピークはほぼ重なっており、
柏における137Csの大部分は、3/21
10:00~12:00に降雨ともにもたらされた可能性が高いことがわかりました。
図4 各地における137Cs降下量・計算値の時系列
図5
3/20~24の柏市役所における137Cs地表大気中濃度・計算値と降水量
※降水量は柏に近い我孫子のアメダスデータを記載
2011年5月30日 | 地名の表記誤りを訂正致しました。 誤「安孫子」→正「我孫子」 |
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