2011/6/17
私たちの立場について
今回、公開しているシュミレーション結果は、社内で独自に育て上げてきた計算技術・計算環境を利用して行っています。
これまでも、当社では、アスファルト固化処理施設火災爆発事故や JCO 臨界事故における大気放出に係るシミレーションに取り組んできています。
そういった経験の中で、批判を受けたり、限界にぶつかったりしながら、計算手法と周辺技術の高度化を図ってきています。そのような経緯ですので、当社が、SPEEDI に関して、開発と運用に参画した実績はありません。もちろん、公開資料や学会発表の聴講を通じて、学習をさせてもらってはいます。
SPEEDI は、規制する当局担当グループが事故時の対策を立案する際に支援情報を提供する位置づけにあるといえるでしょう。確かに規制する側は、厳しい判断に直面しつつ、安全安心を最大化する方策を定める責務を担われています。そういった際に、様々な予測値が飛び交うことはいたずらに混迷を招来するだけだという批判を耳にすることがあります。
しかし、私たちのような民間企業においても、関連情報を収集し、努力することで有意な情報を提示することができるという事実を知ってほしいと思うのです。実際、モニタリング情報と比較検証し、自己批判する資質を身につけていれば、真実に少しは近づいていけるのではと考えています。
そういった積み重ねの中から、開かれた科学が社会に根づくことを期待しているわけです。
2011/5/27
現状について(2)
弊社では「福島第一発電緊急事態 大気放出に係る事故解析」に関して、137Cs
降下量のシミュレーション結果を公開することとしました。
なお、先に再公開をいたしました「地表付近 大気中濃度分布[Bq/m3]」におけるアニメー
ション図に関しましては、現象の検討・解析を支援する観点から判断すると必要性は低いといえるでしょう。
ゆえに、サイトの安定性のためにも、公開を見送る
ことといたしました。ご理解をいただけますようお願いします。
137Cs
降下量のシミュレーション結果はこちら
放射性物質の拡散予測シミュレーションはこちら
2011/5/2
現状について
弊社において公開しておりました「福島第一発電緊急事態 大気放出に係る事故解析」について、サーバの転送量制限を超えたため、一時的にサイト全体が停止状態となりました。
現在は、特に容量の大きかった「地表付近 大気中濃度分布[Bq/m3]」におけるアニメーション図を見直し、軽量化して近日中に再公開する予定で作業を行っております。
ご迷惑をおかけいたしますが、寛恕を持ってご対応いただきますようお願いいたします。
2011/4/15
福島第一発電緊急事態 大気放出に係る事故解析結果を公開
平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災により、被害を受けられました皆様に、
謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
東日本海岸域を襲った地震・津波の影響をうけて福島第一原子力発電所の複数の原子炉が緊急事態に陥り、
格納容器内水蒸気放出が実施され、水素爆発が発生するといった展開となりました。
これにより、放射性核種が大気中へ放出され、住民の安全を確保するために
避難・屋内退避の防護対策が施行されてきています。
平成23年4月5日時点で、関係機関の必死の努力にもかかわらず、全原子炉が冷温停止となり、管理できる状況に到達していません。
ここにきて高い放射性核種濃度の液体の海への漏洩が確認され、海洋環境の汚染が憂慮される状況となっています。
福島第一原電の事故発生以来、状況を安定化するために
現地にて懸命の努力をされている皆様に心より敬意を表します。
私たちは、原子力安全分野のソフトウェア開発、解析計算に会社設立以来携わってきていて、
環境影響評価は主要なテーマのひとつとなっています。
事故発生直後から、諸機関や報道を通じて公開される事象の進展、モニタリングデータを収集し、
現象を科学的に捉えることができないだろうかと、独自に取り組んできています。
大気中へ放出された放射性核種の移行・拡散状況をシミュレーションするためには、
ソースタームを推定し、気象場を仮定し、物理現象を数学モデルで表さなければなりません。
そのため、シミュレーション結果は必ず、多くの不確かさを含有しています。
それでも、日々、積み重ねられてゆくモニタリングデータを評価して
シミュレーションに適用するパラメータの不確かさを小さくする努力を重ねることにより、
科学的に現象を捉える手段のひとつにシミュレーション技術はなりえるだろうと、私たちは期待しています。
そういった信念を持って積みあげてきたシミュレーション結果を公開します。 Read more